以前から、何回かに分けて解説を続けている、帆船・ヨットの仕組み
続きです
ちょっと前回から間が空いてしまって、自分でもナニ喋ってたか忘れてしまっていますww
なんせまだ「平成」だった頃の話ですよ
あ、そうそう
「令和」への改元おめでとうございます
(新年みたいな挨拶でいいんでしょうかね?)
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おさらいしましょう
今までの記事で
帆船・ヨットがなぜ前に進むのか
・作用反作用の力
・セイルに発生する揚力
が主な推進力である という話をしました
その中で
帆船が真後ろから風を受けると非効率である
このようにセイルの真ん中で乱気流を作り上手く揚力が発生しなくなります
ただこれでも作用反作用の力は働きますので
原始的な1本マスト、1枚セイルの帆船(帆掛け船)であればそれほど不利は生じません
少なくとも前には進みます
問題は複数マストの帆船
まぁ、クドクド話すより、画像を見て頂ければ一発で分かります
以前作った4本マストの「日本丸」の画像を使います
・・・
あれ?
製作途中に撮影した、真後ろからの画像があったはずだが・・・
どこいったっけ??
フォルダに無いな
こんなこともあろうかと
大事な作品は、きちんとケースに収納して保存してありますので
再び取り出して撮影を行います
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うおっほん!!
仕切り直して・・・
まずは風の気持ちになってみましょう・・・
「よーし、良い風を吹かせて船を順調に走らせてやるぞー!!」
ふううううぅぅぅぅ・・・・!!
Σ( ̄□ ̄;)えっ ナニコレちゃんと風当たってる??
そうなんです
真後ろから見えるセイルのエリアは
この部分だけなんですね
これを横から見てみましょう
これだけなんです!!
その他のセイルは後のセイルの陰になっています
ほとんどのセイルが推進力に寄与していないのがお分かりでしょうか
じゃあどうすれば最も風の力を効率的に生かせるかというと
もう一度風の神の気持ちになって上の画像を見てみましょう
船が横向きだと全てのセイルが視界に入りますね
そうです、概ね真横から風を受けると、最も効率よく推進力に出来るのです
かといって、常に横から風が吹くという都合の良い条件ばかりではありません
例えば
真後ろからは若干ずれた角度ですが、やはりセイルの大部分は隠れたままです
でも大丈夫!
前回もお話しましたが(上にも書きましたが)
風をセイルに
当てる
のではなく
流す
のが揚力発生には大事なのです
これを図で表します
先ほどの画像の日本丸を上から見た感じになっています
こうなります
つまり真後ろから少しでも船体の軸をずらして、セイルに風が入ってくるスペースがあると揚力は発生するのです
©わかくさモノ造り工房
前回のこの図
間違ってはいないのですが
さらに補足すると
・横から風を受けるのが一番効率が良い
・真後ろから風を受けると効率が悪い(進めない訳ではない)
・正面からの風では進めない
ということがお分かり頂けたと思います
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さて、ちょっと話を戻しましょう
じゃ1本マスト、1枚セイルの船はホントに真後ろから風を受けていたのか
あえて冒頭には
原始的な船
と表現しました
では進化した帆掛け船はどうだったのか?
ここに1枚の資料画像があります
映画「この世界の片隅に」より
私この映画大好きなのですが
冒頭のこのシーン
初見でも見逃しませんでしたよー
見てください、セイルがど真ん中に付いてないでしょ?
このシーンは主役の浦野すずちゃんが幼少の昭和初期
つまり日本において、個人所有の運搬船が機械化する前の最後の時代と言っていいでしょう
つまり進化の最終段階の帆掛け船ということです
あえて分類するなら変則ガフセイルというタイプで、東アジアで昔から使われている
ジャンク船
に影響を受けていると思われます
何が言いたいか、というと
たとえ1本マスト、1枚セイルの小舟であっても
真後ろから風を受けることを前提としていないアシンメトリー(非対称)のセイルが主力だったと考えられるのです
余談ですがこの船
映画「この世界の片隅に」より
着岸したときには既にセイルもマストもすっかり収納されています
つまり
・浅瀬では竿によるコントロール
・無風時、逆風時には櫂による漕走
・そしてひとたび風を掴んでしまえば即座に展帆し、セイルによる帆走
これを、おっちゃん一人で使いこなしていますね
な、な、なんという機能的な船なんだ!!
と小一時間感動した覚えがあります
え?映画の本編?内容?
ちゃんと観賞して号泣しましたよ
詳しくはこっち見てww
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いろいろと、脱線しましたが
横や斜めから風を受けることが大前提となる帆船
当然風の力で傾いてしまいますね
この傾き(ヒール)が次のテーマになります
またセイルの進化過程を解説する上で、ガフセイルは避けて通れませんので、このおっちゃんの船もいずれまた登場することでしょう