今回は、このペーパークラフトのメイキングと共に
ゼロ戦の「美しさ」について考えてみようと思います
「ついでかよ・・・」
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まずは各パーツごとに組み立てた状態で並べてみます
こうやって見ると非常にシンプルであることが分かります
胴体は流線形で後部にいくにしたがって絞り込んでいます
主翼は前縁と後縁が直線で構成されたテーパー翼で翼端は丸く整形されています
んで胴体と主翼の接続部
ここも重要なポイント!
まだ製作途中なので撮影時に機体を垂直に立てて静止出来るという荒業ww
以前F4Uコルセアの時にもお話ししましたが
こういう小ネタに反応してくれるのって
・・・ワタシウレシイネ
低翼(機体の下部から主翼が生えてくるスタイル)にすることで機動性が上がり、前脚も短くでき重量を軽減できます
その反面安定性が悪くなるため主翼に上反角を付けます
主翼に対する胴体もかなりスリムで
これが「シュッ」と見える要因ですね
ところがこの形状、一見スマートに見えますが実は欠点もあります
主翼上面と胴体の接続部の角度が鋭角になって
干渉効力
が大きくなります 早い話が気流の乱れ→空気抵抗
干渉抗力(interference drag):
ある物体まわりの空気の流れは,傍に別の物体を持ってくることによって影響を受け,流れの様子が変化するとともに,そこに作用する空気力も全く変わってしまう。この現象を干渉と呼び,干渉によって生じる抗力を干渉抗力(あるいは干渉抵抗)という。たとえば,胴体と主翼とを組み合わせて空気流中に置くと,これに作用する抗力は干渉により,胴体,主翼それぞれ単独の形状抗力を加えた抗力よりも大きくなる。しかし干渉抗力は,干渉によって生じる局部的で不規則な流れの発生を防止すれば減少させることができ,そのために胴体と主翼との結合部などには,流れをスムーズにするためのフィレット(fillet)が取り付けられていることが多い。
私も難しいことは分かりませんが・・・
・胴体を流れる風により乱気流が起こる
・主翼に流れる風にも乱気流が起こる
・胴体と主翼のつなぎ目はもう大変なことに!!
・これ全部抵抗になります スピードも燃費も落ちる
そこで登場!フィレット!!
フィレット(fillet)
主翼と胴体をスムーズに繋ぐための部位です
お肉のフィレ、ヒレと同じ綴りなので語源も同じと勝手に判断していますが確証はありませんw
英語と航空用語、精肉に詳しい方教えてください
つ・ま・り
コレ↓でいうところの
コレ!
コレ↓でいうところの
コレ!
コレ↓でいうところの
コレ!
コレ↓でいうところの
コレ!
お分かり頂けるだろうか
どの方向から見ても主翼の後端のラインがスムーズに胴体に溶け込んでいく様を!
あとはイメージです!直感です!!
なんかフィレットが役に立ってますよね、ね、ね??
空力学的な観点から有利であるのはもちろんのこと見た目も優美な印象を受けるのです
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続きまして風防、キャノピーです
当時の軍用機のキャノピーは大きく2つのタイプに分けられます
ファストバック型はキャノピー後部が胴体と一体化してなだらかなカーブを描きます
空気抵抗を少なくして速度が出る反面後方の視界が悪くなります
涙滴型(またはティアドロップ型・バブル型)は機体上面に水滴を落としたように盛り上がる形で形成されます
視界が良く格闘戦に向いている反面キャノピー後部の乱流により空気抵抗が大きくなります
あらゆる箇所で空気抵抗を減らす努力を続けてきたゼロ戦の設計ですが
このキャノピー形状は空気抵抗よりも視界の良さを優先したようです
実際に熟練パイロットになると、敵機に後方につかれてもひたすら機銃弾を避けられた、とか
映画「永遠の0」でも主人公の宮部教官がP-51Dムスタングに追い回されるシーンがありますが、何度も後ろを振り返りながら最後まで敵の銃弾を避けきりましたよね
ファストバック型を多く採用していた欧米も、エンジンの性能向上に伴って視界確保を優先するようになり涙滴型キャノピーに設計変更されていきました
現代のジェット戦闘機もほぼすべて涙滴型キャノピーです
つまり
ファストバック=古くさい
涙滴型=新しい
という固定観念を持つ現代の我々から見ると、当時涙滴型を採用していたゼロ戦が先鋭的あるいは洗練されたデザインに映るのも当然のような気がします
ではキャノピーを取り付けつつ先へ進みましょう
尾翼まで取り付けると主翼、フィレット、胴体が形作る「流れるようなライン」が良く分かります
プロペラです
いつもの様に「クリアファイル」を使って「回転しているプロペラ」を表現
これでほぼ完成ですが
増槽を取り付けます
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これまでをまとめると
主翼の形状
胴体の形状
フィレット
これらを駆使して極限まで空気抵抗を抑えるデザイン
キャノピーでは視界確保を優先
結局のところ海軍に要求された性能を追い求めていった結果出来上がったフォルム
「機能美」を追求した結果、と考えると説明しやすいですね
これがゼロ戦が美しいと言われる理由です
でもね
それだけだと説明が付かないことが実はあります
と言われる機体がいくつかあります
(「パクった」とされる誤解もありますが現在では否定)
例えばイギリス製のグロスターF.5/34などは外観がゼロ戦に酷似しています
が、ほとんど知られていません
また同じコンセプトでキャノピーをファストバック型に変えてみると
この機体もほとんど知られていません
引き込み脚やカウリング・排気管回りなどが類似していると指摘されたため、零戦そのものがV143のコピー戦闘機であるという認識が大戦中のみならず現在でも一部海外で存在する(wiki)
とありますが・・・
ちょっww・・・おま・・・
この見た目・・・
どっちかっつーと
ヘルキャットじゃぁねーかYO!
そもそも当時の技術で 空冷式星形エンジン、単発機、単葉低翼 の条件で無難な形に仕上げるとみんなゼロ戦みたくなるらしい
ほんでファストバック型にするとグラマン系列のフォルムになるらしい
まぁ細かい点をみると全然異なる機体らしいけどここでは割愛
じゃあその、よく似ている戦闘機が「美しい」といわれているか?
それどころか知られてもいません(試作機止まりですからね)
ではなぜゼロ戦がここまで有名になったのか
国内においては
・流麗かつシンプルな機体に燦然と輝く日の丸
・序盤の活躍はもちろんのこと
・後継機の開発が遅れたため結局開戦から終戦まで使い続けたこと
・大戦終盤の悲劇的な役回り
滅びの美学
が大好きな日本人向けの感情的、感傷的なものが多分に加味されていると思います
一方海外では
・大戦初期は格闘戦において全く歯が立たない恐怖の対象
・連合軍側の新型機が出てきた後は恐怖ではなくなったものの以前強敵
・大戦終盤では爆弾抱えて機体ごと突っ込んでくる恐怖の対象(再び)
・戦後には「サムライの駆るZEROに勝った俺たち最強だゼ!ハッハー」っていう意味合いで持ちあげる風潮もあります
国内での人気、海外での話題性、英雄譚、悲劇の物語、恐怖の物語、懐古譚その他多くの要因が複雑に絡み合って戦中、戦後ともゼロ戦の露出は多くなり、人々に語り継がれ、尾ひれはひれが付いて
これに見た目の美しさが加わって
良い機体
美しい機体
として評価が定着していったのではないでしょうか
さて今回のゼロ戦
「自分も作ってみよう」と、思った方
前回の記事でも紹介しましたように商品としては絶版
今は在庫もなく手に入れることは難しいと思われます
しかーし!
案ずるには及びません
零式艦上戦闘機21型
こいつはまだ前座です
前回も述べましたが、先人たちが作ってくれたゼロ戦の展開図
いくつかありますが
つい最近新たに公開されたものがあるのです
いつも私がお世話になっているあのサイトから・・・
次回
零式艦上戦闘機52型
まもなく完成です!
え?上でちょっと見た??
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前回のはてブとお礼
いやホントこれ
つい見とれて仕事の手が止まっちゃうことが多々・・・
でもタマラン・・・
クリア棒!
いいかもしれませんね
ただ「二度漬け禁止」感も捨てがたかったりするwww
ざっと探した感じ、無償ではデフォルメバージョンがあります
また改めて震電も紹介しますね
待テ!次号!!
え?上でちょっと見た??
この他にもたくさんのはてブ下さった皆さま ありがとうございました(*´ω`*)