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張り線の説明を書いていたつもりがついウッカリ 帆船「日本丸」ペーパーモデルアート その10

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現在 帆船「日本丸」ペーパーモデルアートを製作中です

 帆船「日本丸」ペーパーモデルアート

 

今回はまず、帆船(ここではヨット)におけるマストとステイ(静索)の関係性について解説しましょう

純化するためにまずは少人数で乗るヨット(セイリングボート、プレジャーボートディンギーともいう)を使います

マストはある程度しっかり船体に固定されているのですが、そのままでは強い風を受けるとマストが根元から折れてしまいます

そこで小型艇であれば主に3本のワイヤー(フォアステイ×1 サイドステイ×2)でマストを支えます

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マストの両サイドから出たサイドステイはマストの根元からわずかに後方の船体に固定されます

①この状態でフォアステイを引っ張ると

②マストがわずかに前方に倒れようとします

③そうはさせじ!とサイドステイが踏ん張って止めようとします

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これらの力が釣り合って、マストを強固に支えているわけです

 

今までのヨットの作品は、すべてこの原理に則って製作しています

ヨットのセイルカーブ

http://wakajibi2.hatenablog.com/entry/2018/03/05/163612

ですからすべてのステイ(静索)がピンと張っているわけですね

今まではすべて1本マストの作品でした

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さて、これを踏まえて4本マストの帆船である日本丸

おそらく原理は同じであろう、ということを前提に製作を進めます

前回作り終えた「シュラウド」(マストの横で船体とつなぐ縄梯子のような何か)を設置した後です

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マストの根元よりやや後方で船体に接続されていることがお分かり頂けると思います

先ほどのヨットのマストと同様に

一番後ろのマスト(ジガーマスト)の中央部に糸を接着し、前方に引っ張ります

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これでシュラウドにテンションがかかる!

すると3番目のマスト(ミズンマスト)さんは

「ちょっ!!、テメー後ろから引っ張んじゃねーよ!!」

と憤ります

仕方なくミズンマストさんの中央部にも糸を接着し、前方に引っ張ります

これでジガーマストミズンマストのシュラウドにテンションがかかる

すると2番目のマスト(メインマスト)さんは

「ちょっ!!、テメーら後ろから引っ張んじゃねーよ!!しかも2本分」

と激怒します

仕方なくメインマストさんの中央部にも糸を接着し、前方に引っ張ります

これでジガーマストミズンマストメインマストのシュラウドにテンションがかかる

すると1番前のマスト(フォアマスト)さんは

「マテマテマテぃ!!3本分のマストなんか支えられるわけねーダロJK」

ともう涙目状態です

仕方なくフォアマストさんの中央部にも糸を接着し、前方に引っ張ろうとしますが

 

さぁ大変!!

 

もうこれ以上前にマストはありません

あるのは・・・

 

バウスプリット「・・・。」

 

バウスプリット「分かった、ちょっと落ち着けお前ら」

「さすがに1本の糸だけで4本分のマスト支えたら俺が上にひん曲がるわ」

「でもこうしたらどうだい?」

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そうです!!ここで登場するのが、製作過程の要所要所で仕込んでいたアレ

さぁ、覚えている読者諸君は何人いるでしょうか?

これから林立してくるマスト群をフォアステイというワイヤーで支える(前方に引っ張る)役目があります おそらく将来的に必要になると思われる作業のために万能糸でループを作っておきます

艦橋(ブリッジ)とバウスプリット 帆船「日本丸」ペーパーモデルアート その3  - わかくさモノ造り工房

あと、細かいところですが マストの上下を繋ぎ合わせるところ 説明書では「クロスツリー」と呼ばれる部分 (なんかとっても年末の西洋祭り感が漂ってくる響きですが・・・) フォアマスト(一番前のマスト)だけですが、ここに糸のループで仕掛けを作っておきます 以前解説したバウスプリットの仕掛けと相まって、張線作業の段階で生きてくるハズなのですが・・・ まだどうなるか自分でも分かりませんww

マスト 円筒製作という名の反復動作・・・ 帆船「日本丸」ペーパーモデルアート その5 - わかくさモノ造り工房

 はい、覚えていた人ははてブコメントなどで自己主張してください('ω')ノ

 

このループ達

こうやって使う目論見だったのです

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簡単に言うとこういう原理ね↓

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http://www.crane-club.com/study/dynamics/sheave.htmlより引用

はい! 余計に分かりにくかったですね

特に過去の受験地獄などで滑車アレルギーのある人は蕁麻疹が出たかもしれませんが、謝罪と賠償は致しませんw

 

この滑車装置、俗に「○○倍テークル」「○○倍取り」という表現をすることがあります

バウスプリットの部分は「3倍テークル」

引用してきた解説の滑車は「6倍テークル」

となります

しかもバウスプリットにかかる力を均等に分散できるのです

この均等にがすごく大事

恐らく個別に張り線をしていたら、3本のうち1本、ヘタをすると2本が緩んでしまうことでしょう

ですがこのシステムを使うと、マスト傾斜の重みとシュラウドの張力で全力で後ろに引っ張ろうとする指示待ちマスト君たちを

強力に

前方に引き戻すことができる上に、個別のフォアステイの緩みは理論上ありえません

 

こうしてバウスプリットさんの機転の利いた起点処理のおかげで、4本のマスト君たちはグラつくこともなく、シュラウドが緩むこともなく、仲良く船の上で立ち続けることになったのです

グリ仏童話「4本のマストとバウスプリットさん」おしまい

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ひとまず主力となる張り線は終了しました

あとはこれらの外郭となる部分を張っていきます

主力が緩まないように、前回よりはややテンションを弱く、でもたるまない程度の力加減が難しい

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これも最後にバウスプリットで「倍テークル」をしています

 

ああ、ついウッカリ童話なんか作ってるせいで記事が長くなっちまったゼ

今回で完成させて〆てしまおうと思ったのですが

次回、「ステイセイルと小物」で完成させたいと思います

 

もうしばらくお待ちを

 

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前回のはてブコメントの紹介とお礼

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いやー、細かければ細かいほどアドレナリン脳汁がww

完成間近だから余計にハイになりますね

 

id:centeroftheearthさん id:kuninnさん

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中森明菜「飾りじゃないのよ涙は」 機動戦士Zガンダム次回予告

ところどころに仕込んだネタに反応してくれると超うれしいです

でも歳がバレるぜ兄弟ww

 

この他にもたくさんのはてブ コメントなど ありがとうございました

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