ちょっとご縁がありまして、京都市山科区にある山科植物資料館に行ってきました
京都発祥の製薬会社日本新薬さんが運営しているいわゆる薬用植物園です
以下概略を抜粋
日本新薬は、植物を原料とする医薬品や機能食品素材を製造・販売しています。ここ山科植物資料館では、それらの原料となる植物のほか、世界各地から収集した3000種を超す薬用・有用植物を栽植しています。春にはきれいに彩った植物をご覧いただけます。ぜひ一度ご来館ください。
(ご来館には予約が必要です。)
引用ここまで
当該サイトにあった館内図を紹介
山科植物資料館より
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館長さんにご挨拶したあと
最初に案内されたのはミブヨモギ記念館
ここは日本新薬さんの創業からの歴史や種々の活動内容、希少な生薬サンプルなどが展示されています
記念館の名前を冠する「ミブヨモギ」は創業間もない頃の主力医薬品「サントニン」の原料となる植物です
ちなみに「サントニン」は寄生虫である回虫の駆除剤です
若干前後する部分もありますが、順に紹介していきましょう
まずは年表と各時代の主力製品が展示されているブース
地元である京都に貢献しているということで、多数の表彰状や記念品が展示されていました
せっかくなので拡大版をいくつか提示
なぜか「薬研」が紛れ込んで展示されていましたが、理由は不明ww
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記念館の中で最も私の興味を引いたのはこちらの文化財
解説パネルを写メしてきたので、文字起こししておきますね
「神農像」
当社 社友 故・小泉淳二様より、平成10年に日本新薬株式会社にご寄贈いただいた、厨子に納められた神農像です。
淳二氏の祖父・小泉俊太郎様(京都府薬剤師会初代会長)の代から小泉家の仏壇に祀られていたものです。
「神農」は古代中国の伝説上の帝王で、百草をなめ、その効能を調べ教えたという故事から、中国では医薬の神として祀られており、日本でも少彦名(スクナヒコナ)神とならんで、古くから薬祖神として祀られています。
神農像背面には次の墨書があります。
享保十四酉十一月吉日
巌白蛇
新再興也
訳:享保十四酉年(1729年)十一月、(神農足下の)岩と白蛇を作りかえた。
また、厨子の背面にはこの厨子が祀られた経緯を記した刻文があります。
(漢文略)
訳:
厨子中の薬祖神農は、私の父が平素大切にするところの尊像である。私は多病にして性質怠惰、嘗て子供や使用人が汚すのではないかと恐れ、困って祇園境中の薬師堂に奉納して、衆人の健康を祈る。
宝暦八年(1758年)五月、京都の草医 柴田玄察 つつしんで書す。
これらから、神農像、厨子ともに250~300年前の江戸時代に製作されたものと推定されます。
厨子内面の上部には中央に天皇家の菊の紋、その左右には徳川家の葵の紋があります。さらに扉内面の左には月の下に僧侶の像、右の概要の下には武人の像が描かれた珍しい文化財です。
紋や時代背景から、僧侶の像は後水尾上皇、武人の像は徳川秀忠ではないかという推測もありますが、厨子の由来や人物については明らかになっていません。
-----文字起こしここまで-----
この像の来歴や意味合い
特に
「神農+後水尾上皇+徳川秀忠」この組み合わせは一体何なのか?
すごく興味があったのですが、詳しくは分からないとのことです
この像はパンフレットにも載っておらず、それほど目玉にするべき展示物では無いと思いますが、異常に食いついた歴史オタクに館長も少しお困りになっていたのではないかと推察する次第であります
(特に反省はしていない)
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奥の一角には漢方薬などで用いられている生薬のサンプルがズラっと並べられていました
このような生薬からは、例えば
アヘン(ケシ) → モルヒネ(麻薬性鎮痛剤)
冬虫夏草 → ジレニア(免疫抑制薬)
等々、我々でも聞いたことがあるような無いような・・・
重要な薬剤の原料になったり成分のヒントになったりするものが多数あります
近代医学における創薬、製薬の原点とも言える資料だと思います
を過去に掘り下げたことがあるので、興味のある方はご一読下さい
ここまでは過去~最近までの話
こちらのブースでは核酸医薬など、最先端の研究内容が展示されていました
現在では創薬の研究、開発、製造過程はガラっと様変わりしております
分子標的薬 バイオ医薬品 ゲノム創薬、AIやスパコンを使ったインシリコ創薬など
仮説→実証を繰り返すこれまでの創薬から
計算科学による「先端創薬」が主流になってきています
様々なアプローチが試されており、ここで一纏めに解説できるほど単純ではありません
(用語なども不正確なまま使用している可能性があるので注意)
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さて
植物資料館の記事であるにも関わらず、ここまで植生の植物は登場しませんでしたww
( ´-`).。oO( サムネは頂いた絵はがきの画像なのだ)
長くなってきたので、後編に続きます
余談ですが
薬用植物園そのものは国内外にたくさんありますが
製薬会社が運営している国内の植物園はこの植物資料館の他に
後編に続く