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川崎重工業が高速船ジェットフォイルを25年ぶりに建造再開しました

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はじめに

興味深いニュース記事を見つけたので、今日は雑談

とはいえ、今後の当ブログの伏線にもなりますので皆さん心して聞いてください

www.kobe-np.co.jp

<記事より一部引用>

川重は1987年、開発元の米ボーイングからジェットフォイルの製造販売権を取得。95年までに15隻を建造し、離島航路の需要を満たしたため建造を止めていた。しかし2005年前後から、老齢船の更新に備えて運航各社から建造再開を望む声が上がった。

 「船体が小さいのでどんな港にも着岸しやすく、荒波でも安定して進める高速船はジェットフォイルしかない」(佐渡汽船の担当者)。建造技術や部品調達網を保持したい川重も、関係者が高齢化する中で再開の道を探り、17年6月に東海汽船との契約に至った。

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ジェットフォイルとは 

さて、ジェットフォイルとは何じゃらほい?

というのが大多数の皆様の感想だと思います

お見せしましょう、コレだ!!

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この作品の出典はコチラ↓

https://itoht2.wixsite.com/paper/jetfoiltoppy

形を単純化してくれているので、とても作りやすいです

私は冒頭のニュース記事を見てからすぐに作り始めましたが、ものの1時間ちょいで完成

連続作業で肩と腰に負担が・・・(´∀`;)

(良い子はマネしないでください、ゆっくり丁寧に作りましょう)

 

ちょっと普通の船と違うのがお分かり頂けますか

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そうですね、変な「足」が付いています

別に陸上を歩くわけではありません

 

ほぼ航空機の翼と同じ原理で、船体を水面から浮き上がらせるために付いているんです

名前もズバリ「水中翼」または「ハイドロフォイル(hydrofoil)」

ジェット推進によって船が前に進むと、水の流れによって揚力を発生し船全体を上に持ち上げるのです

 

ジェットフォイルするからジェットフォイル、というわけです

 

  

イメージが湧きにくいかも知れないので、同型船が浮き上がる動画を紹介します

浮き上がる直前(2:30頃)から開始するようになっているはず

おおっ!ってなるでしょ? なかなか小気味の良い動画ですww 

船体が浮いた瞬間に水の抵抗がグッと下がって、一気に加速していく様が見て取れます

最高速度は時速45ノット(約83km/h)なのです

高速道路の自動車並み

 

www.khi.co.jp

↑ここで各部位の名称、吸水からジェット噴射までの図説

また艇走→離水→翼走→着水の一連の流れを各フェーズごとに解説しています

 

 

船が浮き上がる原理

先ほどのサイトではなぜ浮くのか?の解説がちょっと物足りなかったので、余計なお世話ですがここで追加をしておきます

船が前に進むことによって、水中翼に水流が発生します

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翼の上下で水の流れの速さが異なるため圧力差が生じ、上向きの力が働きます

この力で船を浮き上がらせるのです

wakajibi2.hatenablog.com

 ↑ここの記事の引用です(空気→水に記載を変更)

もうちょっと詳しく書いているので、興味のある方はどうぞ

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こいつ、動くぞ!

実艇では水中翼が支柱ごと可動します

ところがペーパークラフトの組み立て説明書では

f:id:wakajibi2:20200626093209p:plain

組み立て説明書より一部引用

「支柱は動きません」と書かれています

 

あーご心配なく、GIFにすると大体の物は動きますよ

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すべての港湾で十分な水深が確保されている訳ではありませんので、座礁を回避するため動画のように水中翼を跳ね上げて航走することも可能です

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正式名称と歴史と現状

ちなみにこの船は、正式名称「ボーイング929 (Boeing 929) 」

飛行機かYO! (*´Д`)

と、ツッコミたくなる名前ですが、上のニュース記事にもあるように航空機を作るつもりで建造する覚悟が必要な船だそうです

このフォイリング(船を浮かせる)技術は意外と歴史が古く、1967年には軍事用で既に実用化がされていました。ベトナム戦争で使われていたようですね

海上自衛隊でも一時期1号型ミサイル艇として採用されていましたが、現在はすべて退役し、後継として普通の形の船(笑)に置き換わっています

 

1974年からは旅客用として開発され、離島などを結ぶ航路で活躍しています

ジェットフォイル (Jetfoil)の愛称もこの時に付けられたものです

たぶんアレかな?

ボーイング747=ジャンボジェット

ボーイング929=ジェットフォイル

みたいな、ほぼ固有名詞

 

今回のニュースを見るまで知らなかったのですが、このジェットフォイル

数年に1艇くらいのペースで建造が続けられているものだとばかり思っていました 

ところが、2,30年前に川崎重工業が一気に受注して建造されて以降、継続していた訳では無かったのです

当時の船が耐用年数を迎えようとしているにも関わらず、生産ラインは閉じているため再開には数多の紆余曲折があったようです

米国企業の開発した船をライセンス生産しているとはいえ、日本の技術者の経験、ノウハウ、コツ、勘なども非常に重要になってきます

詳しくはニュース記事を改めてご覧ください

この事例に限らず、技術の継承は大事であることを思い知らされるトピックでした

川崎重工業、超ガンバレ!!

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実はヨットにも

実はフォイリングの原理はヨットにも応用されています

wakajibi2.hatenablog.com

このヨットも水面から浮き上がって「飛びながら」帆走します

この記事だけでは解説が少なすぎて、改めて追加記事を書こうと思いながらお蔵入りしています

そのうち書きますm(_ _)m

おそらく現在連載中の「キールの歴史」記事の最後の方に登場すると思います

 

 

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CIWS(近接防御火器システム)ファランクスとSeaRAM 護衛艦いずもペーパークラフト

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現在、市販の書籍の付録

 

「水に浮く! 1/350ペーパークラフト 最新護衛艦いずも」

これを製作中です

wakajibi2.hatenablog.com

何度も言うようですが、今のところ水に浮かせる予定はありません、悪しからず

 

 

まずはちょいと昔話


近代以降(日本でいうと明治時代以降)一般的に「戦艦」と名が付く軍艦は、その時代における最大火力を持ち、それと同レベルの攻撃を受けても耐えられる重装甲を備え、かつ機動力も必要であるという条件を求められました 

 

スペック上は世界最大・最強であった戦艦大和・武蔵

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全長263m、全幅39m

三連装砲塔3基合計9門の46cm45口径砲主砲を持ち、その最大射程は42,026m、高さは10,000mを超えたとか

いわば「エベレストを超える高さを飛翔し、フルマラソンと同程度の距離まで届く」大砲を持っていたのです

さらに410mmの厚さの鋼鉄の垂直甲鈑を装備し、そのため最大排水量(大型船の重さの表現)が72800tと凄く重い

これは、敵艦隊と砲弾の撃ち合いになっていくつかは被弾するのが前提で船を設計しているからなんですね

当時、この甲鈑を貫通出来る砲弾はありません

しかもこの巨体なのに27ノットのスピードを出せます(空母や米戦艦と比べるとちと遅い)

 

ところがイザ開戦してみると、敵艦の砲弾を受けることは無く、代わりに航空機による爆撃・雷撃をしこたま喰らわされることになりました

爆撃・雷撃の解説はこちら↓

wakajibi2.hatenablog.com

甲板上構造物水面下の横腹を狙われることになりますので 、想定した能力を最大限出し切れたとは言えませんが、それでも

大和は爆弾5~10発、魚雷10~15本(資料によりバラつきあり)

武蔵に至っては爆弾17発、魚雷20本、被弾・被雷した上、戦闘終了時にはまだギリギリ浮いていたそうです

両艦とも防御性能の限界まで頑張ったのですが、あえなく沈没してしまい痛恨の極みであります

(参考までに、1世代前の戦艦プリンス・オブ・ウェールズ日本海軍航空隊の攻撃で爆弾1発、魚雷6本で沈没)

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大和型の大きさ、重さ、タフさ、打たれ強さはギネス世界記録としても残っています

大和型戦艦:世界最大の基準排水量及び満載排水量をもつ戦艦

つまり世界一大きい、重い

空母信濃:世界最大の戦艦改造空母

戦艦改造がポイント、空母全体で括ると今の米軍空母の方が遥かに大きい

 

んで武蔵がこれまた凄い

戦艦武蔵:世界一被弾した軍艦

大和型の耐久力はァァァァァァァァァァ 世界一ィィィイイイ!

まぁ意図して競争するような記録ではありませんが、日米が激突し沈没することによって得られた記録でもあり、なんか複雑な気持ちです

(その他不名誉な記録もありますが割愛)

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このような世界一の大和型

「時代遅れ」「世界三大無用の長物」などと揶揄されることもありますが、とんでもない!

 

立場を替えて米海軍航空隊の搭乗員の気持ちになってご覧なさいよ

対大和戦を例に挙げてみましょう

今の我々は結果を知ってるから、簡単に「大和撃沈」なんて言えますけど

いくら魚雷・爆弾、果てはロケット弾を撃っても撃ってもなかなか当たらない

(米軍資料によると当日撃ったのは魚雷60弱、爆弾80弱、ロケット弾100発以上)

当たるようになっても一向に沈まない、止まらない、まさにバケモノ

もし本隊に近づけさせようものなら超ド級(本来の使い方)の46cm巨大砲弾が水平線の向こうから飛んでくるんですよ

「ホントに倒せるのか?コイツ(;´Д`)」

戦闘詳報なんかをナナメ読みしてみると、確かに米軍側に余裕はあったにせよ双方死力を尽くして闘った形跡が見てとれます

米軍側から見た大和型戦艦のラスボス感たるや察するに余りある

 

偉大なる戦艦を産み出した先人に敬意を

戦争によって亡くなられた英霊とすべての方々に哀悼の意を

生き残って日本を立て直した方々に感謝を

見事大和・武蔵を撃沈した敵方の勇士にも称賛を

この場を借りて贈りたいと思います

 

ところで上記のギネス世界記録

おそらく今後、永久に破られることはありません

何故なら、世界中を見渡しても現役で働く「戦艦」は既に居ません

これから建造される予定もありません、そう時代遅れだから

従って「戦艦改造」、ということも起こらない

 

そして武蔵以上に被弾することは不可能であることもこれから説明します

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現代の米海軍駆逐艦や日本の護衛艦の船体には「高張力鋼」と呼ばれる高性能なものを使っているとはいえ、厚さは10mm程度と言われています

大和型と比べるのはおかしいかも知れませんが、1/40程度の薄さ

 

いわゆる紙装甲、ペラッペラですわな

つまり砲弾やミサイルが当たることを前提とした防御は初めから諦めてるんですね

 

ではどうするのか?

かつて、あの赤い人は言いました

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「当たらなければどうということは無い!!」

 

まずは装甲を薄くした分、船は軽くなるため速度を上げます

そして逃げまくる

しかしながら船の最大速度などたかが知れてます

 

そこで活躍するのが今回の記事の主役

CIWS(近接防御火器システム)

 

ちょっと古いですが分かりやすい動画がありましたので興味のある方はご覧ください

2:50あたりからCIWSの活躍するシーンになります

動画にもありますが、このような個艦防御が必要になる前に、航空支援海中からの支援輪形陣による艦隊防御など複数の防御網を敷いているため、1発や2発のミサイルが飛んできたところでまず届きません

 

攻撃する側からすれば、何発同時に撃てば飽和攻撃になるのか?見当も付きません

(飽和攻撃とは:攻撃目標のもつ防御のための処理能力の限界を超えた時間当たりの量)

 

つまり何重もの防御網を敷いて、絶対にミサイルが当たらないようにする

というのが現代の軍艦の防御に関する一般的な考え方です 

最後の砦となるのがCIWS(近接防御火器システム)なのです

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前置きが長くなりましたがCIWSを作っていきましょう

今回の護衛艦いずもペーパークラフトにセッティングされていたCIWSは2種類

順にみていきましょう

 

まずはファランクスと呼ばれる火器

 

パーツ一式がこちら

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組み上げるとこうなります

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いわゆる機関銃なのですが発射音が面白い

我々のイメージする機関銃の音は「ダダダダダダダダダダダ」ですよね

wakajibi2.hatenablog.com

でもファランクスは毎分4500発、1秒換算だと75発

余りに連射速度が速すぎるから、音で表すと「ブゥーーーン」になります

もう一度、上の動画で確認してみてください

 

目標を探知→攻撃が約2秒、目標破壊までの平均弾数が約200発で3秒弱

つまり約5秒ごとに1目標ずつ破壊していきます

 

20mmの多銃身機銃と小型の補足・追尾レーダー(上の白いやつ)で構成されており、射撃管制は全自動です

なんせ数キロ圏内に接近した音速に近いミサイルを数秒~十数秒の間に撃ち落とさなければいけません

 

 昔の機銃は、射手や旋回手、給弾など複数の人員で運用していましたが

たとえこれらが電動でも、人間の判断能力では追いつきません

 

目標の捜索探知補足追尾射撃および撃墜判定再攻撃または他の目標捜索へ移行という一連の動きをまるっと自動でやってくれます

 

 

 

次にファランクスの機銃部分を、RAMという小型ミサイルランチャーに換装した

SeaRAMを作ります

パーツ一式がこちら、大部分のパーツが共通です

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土台や測距レーダーなどは同じですが、機銃の砲身がランチャーに代わります

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SeaRAMもすべて全自動で目標を破壊してくれます

 

 

これらをそれぞれ2基ずつ作り、設置していきます

まずは船首部

飛行看板前端やや右舷寄りにファランクス1基

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艦橋前部にSeaRAMを1基

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艦尾右舷にファランクス、左舷にSaeRAM、各1基ずつ

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これで個艦防御はバッチリ!!

 

先ほども述べましたように、ペラペラ装甲の現代の軍用艦

1発でも当たれば船が爆散・沈没するわけですからとにかくすべて撃ち落とす!!ってのが大前提になっています

もう戦艦武蔵の世界記録を破ることは出来ないのがお分かり頂けただろうか?

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最後に救命ボートです

オマケみたいなもんです

外板と内壁と仕切りの3つのパーツで構成されています

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組み上げたのが画面上のボート

 

この方式はなかなか参考になりますね、φ(・ω・ )メモメモ ... 

これらを船体後方の格納庫に設置します

右舷と

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左舷

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テクスチャで済ますのではなく、ちゃんと立体化してるのがいいですね

横から覗いたときにチラ見えするのがタマランww

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あとはアンテナなど小物がありますが、しばらくは撮影や何やらでイジり倒すので邪魔になります

一番最後に設置予定

 

いよいよ次からは艦載機!!

ミクロの世界はまだまだ続きます

まずはキットに付いている対潜哨戒ヘリSH-60Kから

 

次の記事はコチラ

wakajibi2.hatenablog.com

 

 

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