わかくさモノ造り工房

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【帆船の歴史】バウスプリットセイルと驚愕のバウスプリットトップセイル

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言うまでもなくワタシ現代人です

現代人から見た帆船とか、ヨットの一番先頭にあるセイルのイメージって

こういう

ジブセイル

いわゆるジブセイルってのが一般的なんです

 

ジブ(JIB)というと・・・

 

余談ですが、こちらの方が知名度が高いかも知れません

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ジブセイルなどのセイルクロスを使ったクジラのマークが目印のバッグ

 

さて・・・

私が学生時代にヨットに乗り始めたころも船の一番先頭の部位にはジブセイルしかありませんでした

これが当然だと思っていたんです

 

このジブセイルを語る前に古典的なセイルの話をしなければなりません

表題にある長い名前のセイル、この解説をしながら当時の船乗り・造船技師の創意と工夫、成功と失敗を追っていきましょう

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昔の船ってね

こういうのが一般的だったんです

バウスプリットセイル

バウスプリットセイルってやつ 横帆ね

 

以前もお話しましたが、帆船の推進力の一つ

特に後方から風を受けた場合

 

作用反作用

風の当たる面積が大きいほど推進力も強くなります

なので船に装備するセイルはできるだけ大きく、出来るだけたくさんある方が望ましいならバウスプリットにもセイルを、と

 


考えるのは自然の流れです

 

しかしなぜこのバウスプリットセイルは大航海時代における帆船の発展に伴って姿を消していったのでしょう

 

実はバウスプリットセイル

付けてみたは良いのですが、他のセイルに比べあまり推進力に寄与しません

当時の帆船は主に後方から風を受けることを想定しています

セイルの位置が低いため、船体そのものが風を遮ってしまうのでなかなか風が届かないのです

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そこで当時の造船技師 一計を案じました

そない言うのならバウスプリットよりも高い位置にセイルを設置したろうやないかい! と

 

私もこの艤装を最初に見たときは

 Σ(´∀`;) ふぁっ!??

ってなりました

 

そうなんです バウスプリットの先にさらにマストを立て、そこにセイルを展開するというのです

 

いやいやいやいやいやいや、ちょっとマテ、と

 

マストってさぁ?

こう根元を船体にカッチカチに固定してさ

シュラウドで左右からギンッギンに引っ張ってさ

各種ステイを前後にパッキパキに通してさ

煮てさ

焼いてさ

食ってさ

 

どの方向からの風にも耐えられる

そういうものじゃなかったのけ?

 

ただでさえ不安定なフォアステイの先に、さらに不安定なマストを立てて

んで横帆を展開??

バカ言っちゃいけませんよ、んなこと出来る訳ないじゃ無いですかっ!!

 

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やっとるわww (ノ∀`)アチャー

画像はイギリスの有名な戦列艦ソブリン・オブ・ザ・シーズ

 

バウスプリットのトップに屹立するマストだから

バウスプリットトップマスト

さらにそこに展開するセイルだから

バウスプリットトップセイル

いやー、長い名前だわー

 

あー、表題の「驚愕の」は完全に私の主観です、はい

 

ここに人類の艇速に対する執念とも言うべきこだわりが垣間見られますよね

あらゆる手段を使ってセイル面積を増やしてやろう、と

 

ですが見た目の印象からも察するとおり通り、数々の問題点も出てきます

 

(ここからは私の推測も混じっていますが)

 

セイルの位置を高くしたのは良いのですが

バカでかいメインセイルやフォアセイルの陰になってしまって

結局風が当たる角度は限られてしまいます

しかも不安定なバウスプリットのから生えているマスト

横から突風なんか喰らおうものなら根元からポッキリ

なんてこともあったんじゃないでしょうか

 

しかもこれ

操作が煩雑じゃね?

帆船の素人目にみてもムリだわ、って思う

ここで作業するのも危ねぇだろうなー

 

 

さらにさらにこれらのセイル

とてもとても不名誉な別名も持っています

 

それは・・・

 

ブラインド(blind)

この単語 goo辞書とかで調べると

盲目の、見通しのきかない、無視界の、目隠しの・・・

 

・・・もうね・・・

当時の船乗り(特に見張り員)の不平・不満が聞こえてきそうです

 

 

まとめると 

・効率が悪い

・活用できる条件が限られている

・構造的に脆い

・操作が煩雑で危険

・視界が悪くなる

 

 

まぁ後世の価値観でみた後出しジャンケンであることは重々承知の上で

 (゚⊿゚)イラネ

ってーのが正直な感想

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しかしながら当時の帆船をいろいろ調べてみると

このシステムを採用していた船がチラホラ見受けられます

 

例えば

プリンス・ウィレム(オランダ1651~)

wikiから引っ張ってきましたが、画像はレプリカのものですね

うん、見事なバウスプリットトップマストとバウスプリットトップセイル

 

実は日本でも

サン・ファン・バウチスタ号仙台藩1613~)

分かります?画像右の船 よく見るとバウスプリットトップマストが描かれてる

(ここに復元船が展示されていますが、なぜか復元船にはバウスプリットトップマストは再現されていない、残念)

 

このようにバウスプリットセイルとバウスプリットトップセイルを備えているのは上に挙げたような復元船のみで

現代の実用的な帆船はすべてステイセイル・ジブセイルが装備されています

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でもね

ここまで散々ディスってきましたが

 

こういう過渡期の創意工夫・・・

 

私、嫌いじゃないです

 

見た目の勇壮さに関しては他の追随を許しません

このような歴史的な経緯を勘案して、むしろロマンを感じるのは私だけでしょうか・・・

 

 

とまあロマンはロマンでいいとして、現場の不満はどんどん蓄積していくわけで・・・

もっとこう、効率よく、構造的に単純で、操作が簡単で、比較的安全で、あまり視界を遮らない

そんな理想的な艤装がないものだろうか・・・

 

ついに人類は新たなブレイクスルーを迎えることになります

 

次回、「発明!!ジブセイルとステイセイル」

 

 

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